工事完了後に再度家屋調査を行い、これを事後調査と言います。
事後調査の目的は、事前調査の資料を基に比較することにあります。以前あった損傷が拡大していないか、また新たな亀裂や損傷が発生していないか、建物所有者からの申し出も踏まえて調査を行い、工事完了後の状況を把握します。
但し、工事箇所から遠い・地盤状態が良好等の条件があり、かつ工事自体も揺れ・騒音が軽微で工事中に何らかの影響を与える要因が無かった時、損傷の発生や申し出が無い場合には事後調査を行わないこともあります。
軟弱地盤で工事の影響が出やすい場合などは、一棟の建物だけでなく周囲の建物にも同様の影響が出ている可能性が高くなります。その為、一等の建物調査だけで工事に起因する損傷か否かという判定は難しく、他の周辺建物の調査を行った上で総合的に判断する事が一般的です。
損傷の変化要因としては、工事に起因するもの・それ以外の要因と様々です。
◆工事に起因するものとして、地盤の変動による変化
ヒービング・盤ぶくれ・ボイリング・パイピング等、地盤面の沈下や盛り上がり
◆工事機械の振動による地盤変化・液状化現象等
緩い砂質地盤で起こりやすい
◆工事要因による直接的な損傷
工事機器による接触・作業車両の運行による振動等
◆その他の要因、建物の経年劣化
経過年数による亀裂・目地切れ等…特に新築建物や打設したばかりのコンクリート等は、
乾燥収縮により自然発生的な亀裂・隙間を生じる場合がある
◆建物の施工状態
構造的に影響を受けやすい建物の場合がある
◆自然災害
地震・台風・積雪による過重等、考慮する事が必要です
ポイントとして、工事による影響で損傷が拡大・発生したのか、それ以外の要因によるのか、周辺建物の状況を踏まえて総合的に判断することです。例えば、工事面に近いブロック塀に亀裂・損傷・傾斜の拡大が出ていないのに建物内の一部で損傷が拡大した場合や、建物のレベル(水準測定)や柱傾斜が従前と変化が無いのに建具の開閉に不具合を起こした場合等です。他には、地盤の弱い場所では周辺の建物・ブロック塀等は、一律に同方向に傾斜する傾向がありますが、1箇所のみ別方向に傾斜する場合等。
以上の様な場合は周辺地域を総合的にチェックして、工事との因果関係をより深く考慮する必要があります。